白血病根治つながる細胞特定

最近忙し気味でブログがTwitter化してますが…(笑)
今日は色々書こうと思います。
というのも、色々となんともタイムリーなニュースがありまして。

幹細胞に特徴的な分子発見=急性骨髄性白血病、根治に期待−理研など


2月4日4時4分配信 時事通信


 再発率の高い、急性骨髄性白血病の原因となる白血病幹細胞にだけ現れる分子のリストアップに、理化学研究所などの研究チームが成功し、3日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。この幹細胞だけを狙い撃ちし、再発させずに根治する新薬の開発に役立つという。
 急性骨髄性白血病は、血液の中にある白血球などの元となる造血幹細胞ががん化し、異常に増殖する。抗がん剤などで一時的に抑えることはできるが、がん細胞の元となる白血病幹細胞には効きにくく、高い再発率の原因になっていた。
 理研免疫・アレルギー科学総合研究センターの石川文彦リーダーらは、患者から採取した白血病幹細胞と、正常な造血幹細胞の遺伝子を全体的に比較。正常な細胞にはみられず、白血病幹細胞だけに特徴的なたんぱく質などの分子を25種類選び出した。
 研究チームは、ヒトの白血病幹細胞を移植したマウスを使い、これらの分子が生体内でも他の組織や正常な幹細胞にはほとんど現れないことを確認。これらの分子の働きを止める薬剤を開発できれば、副作用の少ない根治療法につながるとしている。 


急性骨髄性白血病(AML)における異常細胞を特定した、
といったニュースですが、タイムリーというのは、
明日、僕、骨髄穿刺(マルク)の日で、精神統一の準備をしていたところでした(笑)
これ、あまり楽しいもんではないっすよ、、(笑)
ブログでは今まで病名を出してませんでしたが、
僕は上記の急性では無く、慢性骨髄性白血病(CML)です。
この記事に関して、原因となるものが特定出来たということは、
急性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病グリベックのような分子標的治療が出来るってことだと思うんですが、
もしそうであれば素晴らしい研究結果ですね。
不幸中の幸いなのか僕は慢性骨髄性白血病なんですが、この病気は原因が特定出来てるんですね。
患者の大半に22番染色体と9番染色体が転座したフィラデルフィア染色体という異常な染色体が認められ、
これによって生成される異常たんばくのBcr-Ablが原因とされてます。
このBcr-Ablを抑制する物質をコンピュータ上で設計したものがグリベックです。


あと、ヤフコメに色々コメントがありましたが、
間違ったことが書かれていたりして、
そのまま掲載されてるのもなんだかなぁと思いつつ僕が訂正することも出来ませんので、
ちょっとこのブログで公開したいと思います。
グリベックは保険適用外との旨が書かれていましたが、これは間違いです。
確か発売当初は適用外だったと思いますが、今は保険が効きます。
次ですが、グリベックではほとんどの場合、数年で急性骨髄性白血病に急性転化して死亡する、
との書き込みですが、こちらも間違いであります。
多分、グリベック登場前、急性転化を遅らせることが出来たインターフェロンの間違いだと思います。
グリベックによって慢性骨髄性白血病の治療は大きく変化しました。
ほとんどの方にグリベックの効果があり、急性転化という時限爆弾を止めることも出来ます。
また、副作用もインターフェロンに比べ少なく、普通の生活が出来ます。
ただ、完治することは無いだろうと云われており、今のところはずっと飲み続けないといけないと云われてます。
あと、慢性骨髄性白血病が急性転化で急性骨髄性白血病になる訳ではありません。
急性骨髄性白血病が慢性化したから慢性骨髄性白血病になる訳でもありません。
この辺、ちょっとややこしいですが…(笑)二つは別物であります。


もう一つ嬉しい記事が…
(※2010/02/07追記:下記記事は誤報)

慢性骨髄性白血病進行抑制の抗がん剤厚労省が公的助成を検討へ


2010.2.4 00:09 産経ニュース


 慢性骨髄性白血病(CML)の進行を抑える抗がん剤で、高額な薬代が患者側の重い負担になっている「グリベック」について、厚生労働省は、患者が自己負担する医療費の全額公費助成を検討する方針を固めた。早ければ今年中にも、経済的負担が治療の継続などにどう影響しているかについて実態調査に乗り出す。公費投入による予算シミュレーションなども進める予定で、負担軽減に向けて本格的に動き出す。


 民主党は昨年の衆院選マニフェストで「高額療養費制度に関し、白血病など長期継続治療を要する患者の自己負担軽減について検討を進める」と明記。CMLの患者団体も負担額の引き下げを強く求めている。公費助成が実現すれば、がん全体の医療費負担について議論が進む可能性もある。


 CMLは血液のがんの一つで、年間の発症者数は約1200人。国内には現在、約8千人の患者がいるとされる。発症後はゆっくり進行し、放置すれば10年程度で発症者のほぼ全員が亡くなるという。


 かつては「不治の病」とされ、根本的な治療は骨髄移植しかなかったが、平成13年に承認されたグリベックの登場で、患者は移植をしなくても服用を続ければ、病気の進行を抑えることが可能になり、治療法も大きく変わった。
 ただ、グリベックは1錠約3100円と高価で、1日4錠を無期限で服用し続けなければならず、年間の薬代は約450万円にもなる。長期間高額な負担が必要な病気の患者を対象に国が助成する高額療養費制度の対象にはなるが、それでも患者側には年15万〜53万円の医療費がかかる。


 東京大学医科学研究所が昨年、全国のCML患者を対象に実施した調査によると、患者の約7割が医療費の支払いを「負担」に感じ、経済的理由で服用の中断を考えた患者も約3割に上ったという。


 海外ではグリベックの費用を公的保険でカバーしている国も多く、英国やフランス、イタリアなどでは無料。韓国でも患者団体が政府に強く申し入れ、無料化が実現している。


 同研究所の試算によると日本で、公費助成することで発生する予算は年15億円程度。ただ、グリベックの服用で患者の生存率は上がっており、年々膨らむ可能性もあるという。


 厚労省保険局は「経済的な負担を感じている患者の実態を把握し、制度の見直しも含めて、国がどこまで支援できるかを検討する必要がある」としている。


 ■グリベック スイスの製薬会社・ノバルティス社が製造する白血病の分子標的治療薬(一般名メシル酸イマチニブ)。従来のインターフェロン治療に比べて比較的副作用が軽く、治療効果も高いのが特徴。2008年の米血液学会で報告された研究成果では、グリベック服用患者の7年生存率は86%で、インターフェロンの生存率36%を大きく上回った。日本では平成13年に承認された。


これはCML患者にとって願ってやまないことであります。
基本的に僕は民主党の政策など良く思っておりませんが、これに関しては評価したいです。
日本の高額医療制度は大変素晴らしい制度なんですが、
グリベックなどの分子標的薬にはちょっと的外れだったりするんです。
高額医療制度を利用した場合、一ヶ月の自己負担は4、5万くらいですが、
それは払えない金額ではありません。しかし、払えなくはないけどでも大きな金額を、
現状としては一生支払い続けなければなりません。
ここが高額医療制度でカバー出来ていない点で、問題点であります。
高額医療制度というのは昭和の時代に大きな病気=入院・手術による一時的な出費の負担を抑えるために出来た制度で、
最近の、大きな病気だけど外来で長期に渡り治療を行う分子標的治療のことは、考えられてません。
医療は進化しても法律が追いついていない訳です。


僕は独り身なのでまだ良いですが、これが家庭を持ったりしていると大変です。
実際、家族にこれ以上迷惑を掛けれない、家族は自分の保険金で生きれる、
と薬の服用を止めてしまう方もおり、実質上命の薬ですので、静かなる自殺と云われます。
また、「治療に金がかかる」と将来を悲観して慢性骨髄性白血病の娘を殺害したという足立区のニュースも、
記憶に新しいです。世間が不況といわれる中、高額な分子標的薬は家計をかなり圧迫します。
因みにグリベックが高額なのは日本とアメリカだけって云われてたりしますね。
まぁ、アメリカはご存知の通り病気も自己責任ですから、、(笑)
日本はもうちょい頑張って欲しいですね。


もう一つ記事がありまして、こちらはCMLです。

白血病再発の仕組み解明、金沢大 新治療法開発へ


2010/02/04 03:02 【共同通信


 慢性骨髄性白血病が治療薬の効果を妨げ、再発する仕組みを、金沢大がん研究所の平尾敦教授らが解明し、4日付英科学誌ネイチャーに発表した。特効薬の効果を向上させる新たな治療法の開発につながる可能性があるという。


 慢性骨髄性白血病は、がん化した白血球が異常増殖する病気。治療薬としてメシル酸イマチニブ(商品名グリベック)が広く使われるが、白血病細胞のもとを完全には排除できず、一部の患者で投薬中止後に再発することが課題となっていた。


 平尾教授らは白血病細胞を生み出す「幹細胞」をマウスの実験で分析。「FOXO」という遺伝子が活性化して白血病細胞の産出を促し、グリベックの効果を弱めていることを突き止めた。


CMLが飲み薬で完治出来る夢のような時代も近いということでしょうか。
ということで、明日がんばりますわー、、(笑)



新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち

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