WiMAX2の狙いは速度より容量

WiMAXは速度も魅力ですが、元々基本的には帯域制限をしない方針で、高速且つ容量の制限が無く使えることが魅力となっています。
先日NTTドコモがXiの料金プランの変更を検討するといった記事がありましたが、そんな中こう謳ってくれると心強いです。
UQコミュニケーションズは「これからのブロードバンドは、家も外も、これひとつ。」と謳ってるように、家の固定回線と置き換わっていく事を前提としてサービスを展開しているので、大容量の通信は想定済みで、そのためにWiMAX2で期待するのは速度より容量ということも頷けます。
僕は家でも外でもWiMAXを使いますし、データ通信はWiMAXの回線一本になりましたが、他社サービスのように制限が掛かったり普通のモバイル通信になるのであればWiMAXも解約してしまうかもしれません。
ですので、UQコミュニケーションズさんにはこれからも頑張って頂きたいと思ってます(笑)



日本電気 モバイルWiMAXルータ AtermWM3600R シルバー PA-WM3600R(AT)S

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UQが次世代通信「WiMAX2」を提供する真の狙いとは?


nikkei TRENDYnet 7月13日(水)11時46分配信


 モバイルWiMAXを用いたデータ通信サービス「UQ WiMAX」を提供するUQコミュニケーションズは2011年7月6日、2013年のサービス開始を予定している次世代の通信規格「WiMAX2」のフィールドテストを実施した。光並みの通信速度を実現する次世代のモバイル通信環境について検証しよう。


下り150Mbps近い通信速度を実現


 UQコミュニケーションズが導入を進めているWiMAX2は、モバイルWiMAXの次の世代となる通信方式だ。従来のモバイルWiMAXと互換性を保ちながら高速性を実現するというもので、周波数帯域が40MHzで下り最大330Mbps、20MHzで最大165Mpbsの通信速度を実現する。また、時速350Kmと、より高速な移動時の通信をサポートできるというもの大きな特徴だ。


 今回のフィールドテストは、東京の大手町にあるKDDI大手町ビルに基地局とアンテナを設置し、受信機などを搭載したバスでその周りを巡回するという内容だ。ちなみに今回は、現実的に獲得できる帯域幅を想定しているとのことで、20MHzの帯域幅を用いた実験となっていた。


 既存のモバイルWiMAXとWiMAX2はどちらも、MIMO(Multi Input Multi Output)と呼ばれる複数のアンテナを用いることで高速化を実現する技術を使っている。モバイルWiMAXは、2本のアンテナを用いた2×2 MIMOだが、WiMAX2はよりアンテナの本数を増やすことができる点が異なる。今回の実験では、4本のアンテナを用いた4×4 MIMOとなっている。


 これが周囲のビルから反射した電波を捉えることで、高速化の効果を発揮しているという。特に基地局付近での静止時は150Mbps近い通信速度を実現していたほか、移動中も100Mpbsを超える通信速度を記録していた。一方、皇居付近の開けた場所まで移動すると、電波の反射がなくなり、50Mbps程度まで通信速度は低下するようだ。


 とはいえ、今回のフィールドテストでは、理論値に近い通信速度が確認できたほか、先に触れた4×4 MIMOの有用性も見てとることができた。一通りの成果は収めたといえるだろう。一方、350kmでの高速通信や、既存のWiMAXと一体での運用に関しては、今後検証する必要があるとしている。


WiMAX2導入の狙いは“速度“より“容量”


 フィールドテストで順調な結果を得たことで、2013年開始を予定しているWiMAX2の導入は一歩前進したといえる。だが、UQコミュニケーションズがこれを導入する理由は、高速通信の実現だけが目的ではないようだ。


 同社の代表取締役社長である野坂章雄氏によると、WiMAX2を導入する最大の目的は、既存のモバイルWiMAXと、より電波利用効率のよいWiMAX2を併用することで、ビット単価を下げることだという。つまり、速度よりも通信容量を増やすことが狙いだというのだ。


 UQ WiMAXは、他のキャリアのサービスと異なり、データ通信利用に対する制限をかけていない。これは、モバイルWiMAXの通信効率のよさや、会員数や帯域に余裕があることが影響していると考えられる。高速な通信サービスを容量制限なく利用できるというのが、UQ WiMAXが会員を獲得している大きな理由となっているのだ。


 だが、通信トラフィックは近年急速に増加しており、現行のUQ WiMAXでも2012年にはオーバーフローする可能性があるという。それゆえ、モバイルWiMAXを展開するエリアの上にWiMAX2を重ね合わせ、WiMAX2の端末からはWiMAX2を利用してもらうようにすることで、既存のモバイルWiMAXにかかる負担を減らし、容量を確保していく考えのようだ。


 それゆえWiMAX2の導入は、モバイル高速通信のニーズが高い都市部からになるとのこと。だが、これによって既存のモバイルWiMAXのエリア展開が遅れるという訳ではなく、並行して進めるという。


それでも増える通信量、料金体系はどうなる?


 とはいえ、通信速度が高速になればなるほど、より大容量のデータを用いる機器やサービスの利用が進むことにもなる。WiMAX2も、開始当初はパソコン向けのデータ通信端末からスタートするとしているが、それ以外の機器からの利用も想定しているようだ。


 事実、野坂氏は、ビデオカメラへの搭載を例に挙げ、屋外で撮影したハイビジョン動画を、WiMAX2を用いてインターネット経由で自宅に中継するアイデアを提案するなど、機器の広がりを見越している印象も受ける。


 大容量通信する機器が増え、それを利用する人が増えるとなると、当然のことながら、データ容量も増加してしまう。それゆえWiMAX2においては、デバイスや容量に応じて料金体系を変化させる可能性も示唆している。


 モバイルWiMAXによる制限なしの高速・大容量通信を、年縛りなしの安価な料金で提供するというのが、これまでのUQコミュニケーションズの戦略であった。だが、1年契約を前提に月額3880円で利用できる「UQ Flat 年間パスポート」の提供により、“縛りなし”という同社の戦略の一角は既に崩れている。


 それでもなお、UQ Flat年間パスポートは他社の“2年縛り”よりも条件が緩く、料金的メリットも大きいことから支持を集めている。しかし、バランスを崩せば、評価が大きく下がる可能性もある。戦略を変えてもなお、料金や制限に厳しいユーザーを満足させる料金体系を提示できるかどうかが、WiMAX2の評価に大きく影響してくるともいえそうだ。


TD-LTEとの競合はどうなる?


 もう1つ、WiMAX2の導入について懸念されているポイントが、同じ高速モバイルブロードバンド通信を実現し、方式としてはWiMAXに近いといわれているTD-LTEの存在だ。


 世界的に見ると、この方式の導入に積極的な中国に加えインドなど、大国でTD-LTEを採用する動きが活発なほか、既存のモバイルWiMAXを採用する事業者がTD-LTEに乗り換えるのではないかという話も聞く。日本でも、総務省が6月3日、ソフトバンクが出資するWireless City Planningが、かつてウィルコムが所持していた「XGP」を、TD-LTEとの親和性を高めるなどした「高度化XGP」として採用する計画を認定している。


 こうしたことから、WiMAX2を採用するキャリアは少なくなり、国際競争上不利になるという見方がされることが増えてきている。そうした意見に対し、野坂氏は、先に触れた通信容量の急増が深刻な問題となっていることから、「業界全体の流れが変わりつつあり、どの通信方式を採用するかは大きな問題でなく、いかにトラフィックを分散するかが求められるようになってきている」と話している。


 逆に、現在、日本がモバイルWiMAXで成功をおさめ、技術やノウハウを蓄積していることから、UQコミュニケーションズがアジアを中心とし、WiMAXの普及を先導していきたいという考えも示している。事実、7月7日には、マレーシアでWiMAXによる通信事業を展開しているYTL Communicationsとの相互協力に関する覚書を締結し、国際ローミングやWiMAX2の展開などで協力していくという。


 UQ WiMAXの契約数が100万を超えるなど好調を示し、かつWiMAX2のサービス展開に向け、順調に開発を進める同社。爆発的なトラフィックの増加を迎える今後、どのようなサービスを展開し、次の成長にどう結び付けていくのか、注目していきたい。