失業率目標

これはインパクトのあるニュースですね。
金融緩和と雇用には相関性があるので中央銀行には雇用責任がありますが、それを強く感じさせる政策ですね。
恐らく日銀には耳の痛いニュースです(笑)
インフレ目標の時と同じような感じで、「目処」など言って渋々導入するのでしょうか。


他のニュースで「子育て、雇用忘れないで」といった見出しがありましたが、この内の雇用については雇用は日銀の責任でもあることを述べてる政治家もいるので、我々有権者はしっかり政治家の声を聞くべきですね。
独立性を履き違えたり、今のような状態になってしまってるから日銀法改正が叫ばれるのでしょうね。



連邦準備制度と金融危機―バーナンキFRB理事会議長による大学生向け講義録

連邦準備制度と金融危機―バーナンキFRB理事会議長による大学生向け講義録

米FOMCで失業率目標を導入、月額450億ドルの国債購入も


ロイター 2012/12/13 03:36


[ワシントン 12日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は11─12日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、失業率が6.5%に低下するまで事実上のゼロ金利政策を継続するとの方針を決定、金融政策見通しの説明に数値基準を導入する前例のない措置に踏み込んだ。


その条件として、向こう1─2年のインフレ見通しが2.5%を超えず、インフレ期待が抑制されている限り、低金利政策を継続するとした。


FRBはまた、年末に期限切れを迎えるツイストオペに代わり、月額450億ドルの国債を買い入れる方針も明らかにした。


FRBはこれまで、異例の低金利を少なくとも2015年半ばまで維持する公算が大きいとの見方を示していたが、金融政策の方針を具体的な時期に関連させることについては、内部でも抵抗があった。


また、異例の低金利を続ける時期を明示するこれまでの手法には、FRBがその時期まで経済の弱さが続くことを予想しているとのメッセージを送るに等しい、などとして、一部のエコノミストは批判していた。


そのため今回の数値基準導入により、市場が金融政策の行方を正確に見通せるよう経済指標を評価する一助になると期待されている。


バーナンキFRB議長は記者会見で「将来的な金融政策を経済情勢に一段と明確に関連付ける、われわれのこの政策ガイダンスは、金融政策の透明性と予測可能性を高めることにも貢献する」との認識を示した。


9月に打ち出した月額400億ドルのモーゲージ担保証券(MBS)買い入れの継続も決めた。MBS買い入れ継続と、新たに国債を月額450億ドル買い入れるとの方針とは、金融市場の予想通りだった。


さらにFRBは、労働市場の見通しが著しく改善するまで、債券買い入れを継続する方針もあらためて示した。


声明は「十分な政策緩和がなければ、経済成長は雇用市場状況の持続的改善を創出するのに十分強いものとはならない可能性があると委員会は依然懸念している」としている。


<バランシシートが拡大>


ツイストオペでは、短期債を売却し同額の長期債を買い入れているが、今回打ち出した国債買い入れにより、FRBのバランスシートは今後さらに拡大することになる。


政策当局者の一部は、FRBのバランスシート拡大につながる措置はそうでない措置よりも経済への影響が大きい、との見方を示している。ただバーナンキFRB議長は、記者会見で、債券買い入れの総額は月額850億ドルで変わらないため、刺激策の強さも同じ、と述べている。


アランB.ランツ&アソシエーツのアラン・ランツ社長は「FRBは経済が非常にぜい弱とみており、景気回復を促すためにできることはすべて行っている」と指摘した。


発表の直後、米株市場は小幅に上昇したが、最終的にはほぼ横ばいで終了。債券は下落した。原油価格は上昇、ドルは対ユーロで下落した。


今回の決定について、リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は唯一反対票を投じた。債券買い入れと数値基準の導入の両方について反対としている。


<回復の足取りなお弱く>


今回新たに発表された数値基準は、FRBが景気押し上げと雇用の拡大に向けて、やや高めのインフレ率を容認する姿勢を示唆するものだ。


11月の失業率は前月の7.9%から7.7%に低下したが、これは主に求職者が職探しを断念したことが要因とみられており、雇用市場の改善とは受け止められていない。


バークレイズ(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は「きょうの決定は、景気回復と労働市場の状況改善に向けたFRBのコミットメントをさらに強めるものだと受け止めている」と述べた。


FRBは2008年12月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ─0.25%に引き下げ、これまでにおよそ2兆4000億ドルの資産買い入れを実施してきた。


こうした異例の措置にもかかわらず、第3・四半期の米国内総生産(GDP)伸び率は年率2.7%にとどまっている。さらに12日公表のロイター調査によると、第4・四半期のGDP伸び率は1.2%と予想されており、ここにきて経済は急減速しているもよう。


これに加え、来年から減税失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」問題の行方も、企業には重しだ。


バーナンキFRB議長もこれまで、「財政の崖」から落ちれば、米経済は新たなリセッション(景気後退)に入ると繰り返し警告している。


バーナンキ議長はさらに、記者団に対して、FRBは債券買い入れを「若干」拡充することが可能と述べたが、同時に、金融政策には限界があり、その影響を完全に相殺することはできない、との見方を示した。


<実際の政策変更には幅広い指標を検討>


バーナンキ議長は、FRBが最終的に利上げを決定するにあたっては、失業率とインフレ率だけでなく幅広い指標を参考にすると述べた。


また議長は、FRBは「自動操縦」するわけではない、と強調した。


バーナンキ議長は、会見で「数値基準に達したとしても、即座に政策緩和を弱めることにはならない」と指摘。「いかなる単一の指標も労働市場の完全な評価を提供できない。よってわれわれは、労働市場の状況に関するより広い文脈の中で、失業率の変化を検証する」としている。


議長は、当局者が2015年までは失業率が基準の6.5%に低下することはないと予想していることを指摘し、数値基準はこれまでの期日を明示したガイダンスと実質的には一致している、との認識を示した。


実際、同日発表された経済見通しによると、当局者は2015年第4・四半期の失業率を6.0─6.6%と予想。また、予想期間の間にインフレ率が2%のターゲットを上回ることはない、と予想している。


長期予想は、失業率が5.2─6.0%、インフレ率(PCE=個人消費支出)が2.0%で、9月から変わらなかった。つまり当局者は、最終的にはインフレを誘発せずに失業率を5.2─6.0%に低下させることが可能、と引き続き考えていることになる。ただバーナンキ議長は、失業率がそこまで低下する前に引き締めを開始する、としている。


2013年の成長率・インフレ率見通しはともに引き下げられた。


失業率は2015年より以前に6.5%に低下することはないと見込まれている。


2013年の成長見通しは2.3─3.0%と、9月時点の予想2.5─3.0%から引き下げられた。


ただロイター調査では、来年の米GDP伸び率は第4・四半期の前年同期比ベースで2.1%(中央値)と予想されており、FRBの予想は民間よりもなお楽観的となっている。


*内容を追加して再送します。